関西国際文化センターにて

 絵をみて涙がでる。感動しました。この絵に接したことは終世心に残ることでしょう。

 「第九の怒涛」は、19世紀のロシアの海洋画家アイヴァゾフスキーの32歳のときの大作。世界の大画家といわれる天才たちが、30歳代前半の時期にそれぞれの代表作を残していることを考えると、彼の最も油ののりきった時期のの作品といえるだろう。
 波の周期のうち9番目の波は最も危険な波とされ、この波を乗り越えると、必ず天の助けがあるとされることに由来する。
 木につかまりながらも、ただ一人、第九の怒涛に向かっていく一人の人間、6人の漂流者の一人は赤いターバンを振りかざして、励ましを声をおくっている。また、一人は海に沈もうとする人をひっぱり起こそうとしている。これらの船乗りは、東方世界の人々として描かれている。船のマストはいかだとなって人々の生命を支えている。そして、「第九の怒涛」の向こうには旭日の太陽が、希望の未来を象徴するように姿を見せている。

 この絵は特定の海難事故を描いたものではなく、人間愛や勇気、希望、励ましを象徴的に表現している。彼らは助かるのか、それとも海の藻屑と消えるのか、それを暗示するかように旭日の曙光が嵐の闇を切り開いている。希望と絶望、生と死が混在しながら、破壊的な怒涛をも打ち負かす、人間精神の強靭さがドラマチックに描かれる。

 ドラクロワ、ターナー、ミレー、モネ、ルノワールなど大画家の作品も同時に展示されていましたが、人間精神への確信を呼び起こす「第九の怒涛」のまえには、影が薄くみえました。