ドリアン・グレイの肖像

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 今日より52  
 美貌の青年に起こった悲劇  
 イギリスの作家、オスカー・ワイルド(一八五六〜一九〇〇年)の作品に、小説『ドリアン・グレイの肖像』がある。読んでいない人のために、小説のストーリーを簡単に紹介すると、美貌の青年ドリアン・グレイは、その美しさから「輝ける青春」とあだ名されている。ある画家が、その美を永遠に残そうと、彼の肖像画を描いた。見事な出来栄えで、絵のほうも、素晴らしい若さと美しさだった。ところが、不思議なことが起こった。ドリアンは、ある友人の影響で、次第に「快楽」と「悪行」の道に分け入る。背徳の生活。しかし彼の美しさは変わらない。輝くばかりに晴れやかである。何年たっても若さも衰えない。一方、肖像画のほうが、彼のすさんだ生活そのままに、少しずつ醜く変わっていった。とうとうドリアンは、ある乙女を、もてあそび、ついに自殺に追い込んでしまった。この時、肖像画の顔は、見るもおぞましいほど、邪悪な残忍な、表情を浮かべていた。その後も、彼の悪行が増すにつれ、肖像もいまわしく変わっていった。  
 ドリアンは恐ろしくなった。この「魂の顔」は、醜いまま、永遠に残るのである  
 ドリアンが死んだとしても、その真実を、雄弁に語り続ける。たとえ善人になろうとしても意味がない。ドリアンは決意した。この肖像を抹殺しよう!この絵さえなくなれば、「過去」と決別できる。自分は「自由」になれるのだ。彼は絵をナイフで突き刺した。悲鳴を聞き、駆けつけた人々が見たのは、若く美しいドリアンの肖像と、その前に倒れた、老いた、いやらしい容貌の男(ドリアン)であった。男の胸にはナイフが刺さっていた。 ─ つまり、肖像は、彼の「生命の顔」であり、「魂の顔」であった。彼の行動の因果を、あますところなく、刻み込んでいたのである。

 


 

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