永遠の都

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 ルネサンス29  
 ここイタリアを舞台に書かれたホール・ケイン(イギリスの小説家、一八五三〜一九=二年)作の小説『永遠の都』。この波欄万丈のドラマを、戸田先生から「君にあげよう」と差し出されたのは、一九五一年(昭和二十六年)の新春、私(名誉会長)が二十三歳の時であった。  
 内容については、皆さま、ご存じのことと思うが、鮮烈な「革命の書」であり、「友情の書」である。主人公の若き革命家デイビッド・ロッシは「人間共和の永遠の都」を目指して、時の政治権力と宗教の権威に、敢然と挑戦する。外からは列強諸国の圧迫。内からは腐敗した政界と聖職者による抑圧。民衆は何重にも苦しんでいた。重税。飢え。希望なき生活。ロッシは一人、立ち上がった。民衆の心を我が心とし、民衆の声を若き体にこだまさせながら、叫んだ。戦った。「われわれはいったい何をなすべきか。人間としてのわれわれにあたえられた義務とは、不正と圧制に直面して民衆の主権を強く主張するということであります」(新庄哲夫訳、潮文庫)
   
 「自分に勝つ」ことこそ根本の勝利  
 政府への弾劾演説。コロシアム(古代ローマからの巨大円形競技場)での国民大会。軍隊の出動、弾圧。ロッシは亡命する。彼の「永遠の同志」ブルーノ・.ロッコは、捕らえられ、拷問また拷問が続いた。それでもブルーノは屈しない。「ロッシが、お前を裏切っているぞ」との、偽手紙を使った陰険な策謀にも、ブルーノは負けない。同志を信じ切っていた。「永遠の友」であった。「デイビッド・ロッシ万歳!」  
 彼の最後の叫びを、小説のヒロイン、ドンナ・ローマはこう書いている。「きょうというこの日まで、人間性が神性になり得るものとはついぞ知りませんでした。それは、ほんとうに神聖なものですわ」「彼が最後に叫んだときの声は、いまなおわたくしの耳もとに鳴り響いています。それは勝利の声・欺瞞に打ち勝った勝利、誘惑に打ち勝った勝利、嫉妬に打ち勝った勝利、なかでも自分に打ち勝った勝利の声だったのですわ」と。「自分に勝った」勝利こそ「根本の勝利」であり、「永遠の勝利」である。

 


 

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