キケロ

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 輝き58
 そうした大きな大きな心で、この人生を生き抜いた先人の一人に、古代ローマの大雄弁家キケロがいる〈紀元前一〇六〜四三年〉。
 天文学に造詣が深かった彼は、「宇宙から見れば大国ローマも地球上の一点の染み」にすぎないと達観していた。
 ゆえに、つまらぬ噂などに惑わされたり、目先の名声などを追い求めたりすることが、どれほど愚かであるか。
 人間は、人間としての最善の仕事のために、正義のために、また、「地球と呼ばれる天球」を守るために、行動していかねばならない。
 彼は、宇宙に心を広げながら、探究と思索を深めていったのである。
 彼は、「全宇宙の市民」という広々とした心を持っていた。だから、地上の権力者など、断じて恐れなかった。また彼は、永遠不滅の栄光を見つ めていた。ゆえに、この世の迫害などに断じて屈しなかった。
 
 「どんな悪人にも負けない!」
 ローマを乗っ取ろうとする悪徳政治家の陰謀も、彼は鋭く見破り、先制攻撃を開始した。彼は、悪人を真っ向から弾劾した。
 「いったいどこまで、カティリーナ(編集部注=陰謀者)よ、われわれの忍耐につけ込むつもりだ。その狂気じみたおまえの行動が、いつまでわれわれを翻弄できょうか」
 「ここ何年もの間、一つとしておまえのせいではない悪行はなかったし、おまえの関わらない破廉恥な事件も起こらなかった」
 「こんな事態は、もう我慢すべきではない。だから、おまえは立ち去りなさい」(『キケロー選集』岩波書店)
 キケロは、その悪事を次々と告発し、悪人を断固、追放していったのである。
 彼は民衆に誇り高く呼びかけている。
 「ローマ市民諸君、わたしはどんな人間の不敵な行為にも負けないし、それどころか、あらゆる悪人に対して常に率先して戦いを挑む覚悟ができている」(同)と。    

 


 

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