スターリングラード





 スターリングラード攻防戦  
 1942年、ヒトラーは第2回夏期攻勢を命じる。戦力を南方戦線に集中し、スターリングラードをめざす。迎え撃つソ連軍は量的にはドイツ軍を大きく上回っていた。コーカサスの石油地帯を目指した南方軍は前進を阻まれる。スターリングラード攻撃をめざしたパウルス大将指揮の第6軍は、9月にスターリングラードの半分を占領するが、ソ連軍の手ごわい抵抗をうけることになった。
 
 その激戦を背景にした人間ドラマである。
 
 あらすじ
 冒頭の映像は、少年が狼を狙う銃口。老人が指示を出す。バシリ、「打て、打つんだバシリ」。狼を射撃する場面。
 
 列車で移動する兵士たち。主人公バシリは、本を読むある女性を 目に留める。 やがて列車は停止し、民間人は降ろされ、兵士を満載した列車は激戦地スターリングラードへ到着。列車の扉が開けられ、目の前の光景に立ちすくむ兵士たち。  彼らは追い立てられ、船に乗ってボルガ川をわたる。川には兵士の死体が流れ、ドイツ軍の砲撃とユンカース急降下爆撃機の機銃掃射で次々に兵士が倒れていく。炎上する船、吹き飛ばされる船、恐怖にひくつる兵士の顔、たまらずに川に飛び込んだ兵士は非情にも味方の赤軍の将校に撃ち殺されていく。  バシリを乗せた船はボルガ川の対岸に到着。そのすさまじい光景に、兵士たちはおびえながら上陸していく。銃は二人に一つ、銃のないものは倒れたものの銃を取れ、と命令される。  弾丸を手にするバシリ。しかし銃は手に入らない。兵士たちは追い立てられ、ドイツ軍の陣地に突撃を開始する。喚声をあげて突撃する兵士たち。ドイツ軍の一斉射撃に兵士たち次々とたおれていく。やがて、誰かの「退却」の声、しかし、退却する兵士は赤軍将校の命令で味方の機銃掃射によって殺されていく。悲惨そのもの。

 砲撃をかわし 疾走する自動車。横転した自動車から逃げ出す一人の男。彼は味方の死体にまぎれる。眼前にドイツ軍の将校たちの姿が。彼は死者の銃をとって将校をを狙う。そのとき、「よく狙って、人民委員殿」の声。突撃から生き延びたバシリであった。バシリは銃の扱いがままならない人民委員ダニロフにかわって、またたくまに5人のドイツ軍の将校と兵士を狙撃する。見事な腕前。

 ダニロフは味方の士気を鼓舞するために、バシリをプロパガンダに利用しようとする。 そんなとき、スターリンによってニキタ=フルシチョフがスターリングラードの戦いを統括するためにやってくる。「何か案は」と聞かれ、ダニロフはフルシチョフにザイツェフを兵士の模範として宣伝するよう進言する。こうして、「ウラルの若き羊飼い」ザイツェフの狙撃したドイツ軍の将校の人数が宣伝され、ザイツェフは国民の英雄となるのである。「5歳のときに狼を撃ち、スターリンの呼びかけに応じ自ら志願した狙撃兵」という虚像がつくりあげられていく。

 狙撃にでたバシリは少年サーシャと出会う。バシリはサーシャの家に案内され、そこでダニロフと各地から彼に寄せられた手紙に返事を書いている。そこへ、列車で見かけた美しい女性ターニャが。彼女は市民防衛隊でたたかっていた。書棚のドイツ語の本をみて、「ドイツ語はどこで?」とたずねるダニロフ。
 「大学で」
 「大学はどこ」
 「モスクワ」。    
 寄せられた手紙に返事を書くバシリ。しかし、単語のスペルも満足に出てこない、そばでダニロフが横でスペルと文案を教えながら。
 そんなバシリに、サーシャの母は「あなたは疲れているは。明日にしたら」という。  
 「みんな返事を待っている。明日はかけなくなるかもしれませんから」と答えるバシリ。

 バシリ・ザイツェフの狙撃により多くのドイツ人将校が倒される。ドイツ軍の士気の低下は著しい。そこへドイツ本国からロシアの狙撃兵・バシリを倒すためケーニヒ少佐がスターリングラードへやってくる。

 ケーニハはバシリをしとめるため、罠を仕掛ける。そして、ケーニヒによって、次々とバシリの仲間が倒されていく。  

 ケーニヒをしとめるための新たなチームが結成される。バシリとボロージャと中年のクリコフの3人。戦前、まだスターリンとヒトラーの蜜月が続いていたとき、ソ連から派遣され狙撃学校で教官ケーニヒに教えられたクリコフ。彼は、ドイツのソ連進攻が始まると、ドイツに派遣されたというだけで、スパイの嫌疑をかけられ拷問によって歯をすべてハンマーで折られていた。  
 クリコフ、「 だまされるんじゃないぞ。これが幸せを築く社会主義のまぎれもない現実だ」。  
 スープをとりに出かけたボロージャはドイツ軍につかまってしまう。ドイツ軍の服を着せられた彼は、事情を知らないクリコフによって撃ち殺されてしまう。そして、二人の居場所を知ったケーニヒは、建物を飛び移ろうとした瞬間クリコフを撃ち殺してしまう。信じられないほどの見事な腕。

 ケーニヒは食糧やチョコレートでサーシャを手なずけ、その情報でトラクター工場で待ち伏せをする。しかし、実はバシリを尊敬するサーシャはバシリに勝たせるため、ダニロフにケーニヒの情報を流すという危険な仕事を引き受けていたのである。  ケーニヒが待ち伏せている場所がわかったバシリは、ケーニヒの後ろに回ろうとするが、ケーニヒはそれに感づき逆に待ち伏せをされ、バシリは銃を撃ち飛ばされてしまう。物陰に隠れ動くに動けないバシリ。ケーニヒの銃口が狙っている。  急を聞きバシリを援けに来たターニャはガラスの破片でケーニヒに光をあて、彼の目をくらます、そのすきにバシリは銃を取り、ケーニヒ手をうちぬく。  無事に帰った夜、愛し合ったバシリとターニャは結ばれる。(この場面は上映当時なにかと話題になったそうです。まだの方は実際に見てください)

 バシリは、自分が到底ケーニヒの敵ではないことを知り、ダニロフに自分をプロパガンダの手段にすることをやめるよう頼む。  
 「俺を記事にするのはやめてくれ。あいつをやるのは無理だ。今度はこちらがやられる。俺はふつうの兵隊として戦いたいんだ」。  
 しかし、サーシャが自分を信じて危険な任務についていることを知り、薬品工場でケーニヒを待ち伏せる。しかし、バシリが一瞬のまどろんだときケーニヒは通りすぎてしまう。そして、絶好のチャンスを逃してしまう。化学工場での戦闘が終結し、兵士の死体の中で眠ってしまっていたバシリからぬきとられた身分証明書によって、ドイツ軍はバシリが死んだと思い、彼の死を放送する。  
 しかし、ケーニヒはバシリの死を信じない。サーシャに、「 彼は生きている。なぜかわかるか、私が彼を殺していない」と。そして、サーシャに駅の貯水棟でバシリを待ち伏せることを告げる。サーシャによって、それがバシリに伝わることを考え・・・。  

 サーシャの情報で駅に向かうバシリ。そして、サーシャからバシリが生きていることを聞いたターニャも駅に向かう。愛し合うバシリとターニャに嫉妬したダニロフは、新聞にダニロフを中傷する記事を書こうとする。

 朝になって目覚めたターニャとバシリは、ケーニヒによって吊るされているサーシャを見つける。半狂乱のターニャは銃をとって飛び出そうとする。それを止めて、「やつの罠だ。俺がやつをやるよ、やつの銃を君にもって帰る」。  
 ドイツ軍の攻撃が始まる。対岸に逃げる人々。サーシャの母フィリポフ夫人は逃げることを拒否する。ターニャに頼まれたダニロフはサーシャはドイツ側につき、もう帰ってこないと告げる。サーシャが生きていることに望みをつないだフィリポフ夫人は、ダニロフ、ターニャとともに船着場へと向かう。そのとき、ドイツ軍の砲弾がターニャを吹き飛ばす。倒れるターニャは即死かと思われた。懸命のフォリポス夫人の説得に、医者はターニャを船に載せることを命じる。  

 ケーニヒと対峙するバシリのもとに向かうダニロフ。「人間はかわらない。羨望は人の性。人は自分にないものを求める。ほほえみ、友情、愛されるもの、愛されないもの、ターニャはもう戻らない、彼女は死んだ。砲弾の破片にやられた。最後に君の役に経つことをしたい」、「どこから撃ってくるかみてろ」。  
 そう言うと、ダニロフは、ヘルメットを脱ぎ、頭をだす。ケーニヒの銃弾が額を打ち抜く。隠れ場所から出てくるが、一瞬たちどまるケーニヒ。しとめたはずのバシリが横に立っている。観念したケーニヒは、帽子を脱ぐ。バシリの銃弾がその頭を打ち抜く。二人の戦いはおわった。  
 二ヵ月後ドイツ軍は降伏。スターリングラード攻防戦は終わる。そして、バシリはターニャを捜し求めて、病院で再会を果たすのである。