《第436号あらまし》
 すくすく保育園雇止め撤回闘争
 シリーズC公務員職場の現状〈県職県庁支部〉
 シリーズD公務員職場の現状〈全労働〉
 実務研修会(2004.6.26)報告
 【2004年実務研修会・賃金制度アンケート集計】


すくすく保育園雇止め撤回闘争

全国福祉保育労働組合 大西 真哉


すくすく保育園分会の高橋美里さん、宮田佳代子さん、瀧浦みぎわさんの3名は、6月16日、とりあえず職場復帰しました。

この事件は、西日本初の株式会社立の認可保育園として2001年7月にオープンした神戸市東灘区の「すくすく保育園」(園長は潟Eィシュ・神戸の矢寺紀美代社長)で昨年7月に全国福祉保育労働組合兵庫支部すくすく保育園分会を結成したところ、雇用継続を求めた組合員4名中3名がョ職員全員の一年契約を盾に今年3月末で雇止めされたものです。組合つぶしの不当な雇止めは許されないと4月22日には神戸地方裁判所に高橋さんの地位保全の仮処分申請を提出し、6月1日には高橋さん、宮田さん、兵庫支部の三者を原告に地位確認等請求の本裁判を提訴しました。代理人は、あじさい法律事務所の瀬川弁護士、増田弁護士、中神戸法律事務所の本上弁護士です。

すくすく分会は、園前、駅頭、地域宣伝のかたわら、県内はもとより、京都、滋賀、大阪の福祉保育労の地本、支部の案内で労働組合等に要請、また、全労連の協力もいただいて仮処分の公正な決定を求める署名が個人署名は6,408筆、団体署名は362団体も集まり、6月10日に神戸地裁に提出することができました。

6月11日には、保護者、元保護者をはじめ兵庫労連や東灘地区労、福祉保育労などから60名が参加して「すくすく保育園の高橋さん、宮田さんを守る会」が結成されました。

運動をよりいっそう広げようと闘う体制を整えた直後の6月14日に園側の代理人弁護士から「6月16日から可及的速やかに職場に復帰いただきたい」と突然、FAXが送られてきました。

15日には、緊急に団体交渉を持ち、高橋、宮田、瀧浦の3人で職場にクラス担任を持つ保育士として戻れることを確認して、16日から職場復帰を実現しました。しかし、3名が出勤しても保育室に入れてもらえず、事務所で矢寺園長、本山副園長による組合敵視の発言、人権侵害とも思われる不当労働行為が続き、話が終わると「帰って下さい」と言われ、本山副園長が法事で休むと3名も休まないといけない状況でした。

18日の団体交渉で9時から18時の通常勤務につけるなどの覚書をその場で交わしたにも関わらず、またしても履行されず、「次の団交はセレモニーにしたい」と職場で覚書の反故を分会に強要するなどの不当労働行為が続きました。

25日の団体交渉では、18日付け覚書を履行するのかしないのか「腹をくくって回答せよ」と持ち帰らせました。

29日の団体交渉で、会社側は18日付け覚書の履行と職場復帰後の不当労働行為を謝罪、3名を一日も早く保育室に戻す、給料やクラス担任については別途、協議テーブルを設け、話し合いをすすめることを確認しました。29日から全日勤務ができるようになった3名は、30日の午後から保育室に入ることができました。

7月2日は第1回協議テーブルを持ち、分会からクラス担任について提案をしました。

7月9日は、本裁判の第1回弁論。当初予定していた意見陳述は行いませんでした。会社側は代理人まで欠席の中、双方からの書類提出の確認と次回の期日を決めました。第2回は9月3日にありました。

会社側は3名を復職させた代わりに、パート職員を玉突き解雇しようとしています。7月10日の第2回協議テーブルで会社側からクラス担任の提案がありましたが、分会は保留、玉突き解雇がないように持ち帰り検討して欲しいと申し入れました。

3名は、現在、箱作り等をしながら、お昼寝の時間に補助をしたりしています。7月10日付けで3名とずっと働き続けてきたパートの先生が一人辞めました。解雇された苦しさがわかる3名は、他の職員の玉突き解雇がないよう、会社側と協議していきたいと正常化に向け、元気一杯に頑張っています。

このページのトップへ


シリーズC公務員職場の現状〈県職県庁支部〉

弁護士 本上 博丈


兵庫県職員労働組合県庁支部・副支部長中田氏、書記長竹田氏からの聴き取り(04年5月19日)概要

1、組織概要

(1) 兵庫県職員労働組合

・組合員数約1万人弱で、管理職を除く正規職員の約8割程度を組織。

・9支部があり、上部は自治労に加盟。

(2) 県庁支部

・本庁を中心として組織。

・ここ10年くらいで、組合員数約1800人、組織率8割程度から、現在の組合員数1000人強、組織率5割弱に減少。

・組織率減少の原因は、賃金は上がらない一方で組合費は高いことから、メリット論で組合に入らなくても変わらないという意識が拡がったこと、新規採用職員数が減少しているうえに加入率も下がったこと、組合員が本庁で主幹(課長の1つ下)以上の管理職になると組合員資格がなくなることなどによる。


2、課題

(1) 長時間労働、不払い超勤(特に本庁)

・背景の一つに、県行革による定数削減(退職不補充による)。5年前に10年間で行政職1050人の定数削減という目標だったが、そのうち5年間で500名削減を達成したことから、さらに200人削減を追加して、残り5年間で750人削減という目標に上方修正された。

・もう一つの背景は、県行革によって事務費を年々、前年比5%ずつの削減。

・時間管理は、タイムカードはなく、6年前までは退庁簿だけだったのを、組合の要求で超勤補助簿に自分で実超勤時間を記入する形式に変更された。

・月平均残業時間は23〜24時間であるが、現実には超勤補助簿への記入において自主規制があると思われるし、少数ではあるが管理職による超勤時間の改ざんもある。

・超勤時間はここ5年間くらいは概ね横ばいであるが、定数削減にもかかわらず超勤時間が増えていないのは、労働密度の強化によると思われる。

・過労自殺の業務上認定がなされたケース。40歳代前半の建築技術職職員が、県住宅供給公社に派遣されて行った県営住宅の建設業務に関連して過労自殺。残業簿への記載は極めて不十分だったが、退庁簿での鍵の受け渡し記録で長時間労働が判明し(1か月100時間以上)、組合は労基署にその調査を依頼し、功を奏した。

・36協定締結せずに、労基法33条3項「公務のために臨時の必要がある場合」であるとして残業を命じているが、その場合にも厚労省上限目安時間の1か月45時間、1年360時間を守らせていく必要がある。

・人事委員会も超勤について全く指導しないので、組合としては、時間管理、過労防止等に関する厚労省通達を早期に実施するよう、当局に要求している。今年度から、超勤時間が月45時間を超えた場合の産業医による助言指導、月100時間を超えた場合の産業医による面接指導の実施を協議している。

(2) 賃金抑制

・県行革によって約3年前から、12か月の昇給延伸が累積されたままになっている。

・年収で5年連続ダウンし、本来の昇給がなされた場合と比べて5年間で平均100万円くらい年収が下がっている。ここ2年間はベースダウンにより、その前3年間は一時金の月数減による。

・実質的に減額を遡らせた給与条例の効力を争う訴訟を、高教組とともに係争中。

(3) 公務員制度「改革」

・能力、成果主義、目標管理等による労務管理の強化

・現在のところ、能力主義に関しては、勤務評定はあるものの、昇任・昇格のみに反映され、賃金については査定部分はなく反映しないことになっている。

・目標管理に関しては、5年前に8級課長クラス以上に、昨年からは6級係長クラス以上に導入されている。

・県外郭団体では、社会福祉事業団などで、もともとのプロパー一般職員に導入されているらしい。

(4) 職場の組織強化など

・課題としては、嘱託職員、企業庁(水道、埋立、病院など)職員、外郭団体職員の組織化

(5) 休職派遣の手続

・現状では、1週間前に内示して同意を得るが、内示の3〜4日前に事前の意向打診がなされている。しかし、その際には派遣される地域、勤務条件を教えられないため検討できない。

・派遣期間は原則3年(最大5年)で戻ってくることになっているが、現状では派遣期間満了の3年後にさらに別のところに派遣されるということが生じており、期間制限が形骸化されている。

(6) 組合役員に対する昇任昇格差別

・組合執行委員では、昔から6級(係長相当)になれないという実情にある。

このページのトップへ


シリーズD公務員職場の現状〈全労働〉

弁護士 増田 正幸


全労働省労働組合兵庫支部・川嶋昭徳書記次長からの聴き取り(04年7月8日)概要

1 定員削減と独法化

中央省庁改革基本法にもとづく省庁再編により2001年度から10年間で国家公務員の定数を10%削減することを定め、定員削減が年々進行中である。

全労働の組合員は2万人弱いるが、労働行政の現場では毎年100名程度、兵庫県では毎年7名程度の定員削減が実施されている。

自民党・公明党は2004年6月、2005年から5年間で10%以上の削減をして、一部を治安部門(海上保安庁、税関)に回すという提案をした。それによると、削減対象として定員の3分の2を占める国の出先機関(「地方支分部局」)の廃止、地方自治体への移管が検討の対象とされており、社会保険や職業安定のように出先機関の多い業務については、民間委託、独立行政法人化を含む組織形態の見直しを図るとしていることから、職業紹介業務の民間委託や、職業安定所の独法化に向けた議論が加速するおそれがある。


2 労働 行政の民間開放

定員削減と同時に中央省庁再編以降、内閣府が各省庁の上位に位置付けられた。そこで一方的に政策が決定され、トップダウン方式で各省庁に下ろされる傾向が強まっている。労働行政についても、厚労省による政策決定比重が低下している。

政府は、「総合規制改革会議」を「規制改革・民間開放推進会議」に改組し、「構造改革」として行政の各分野の「民間開放」にとり組んでいるが、重点計画事項として、労働行政関連分野では職業紹介事業と労災保険制度の民営化が提案されている。

重要なことは、これらがいずれも国民の利益の擁護というよりは、民間事業者に新たなビジネスチャンスを提供するという意味で新しい「行政特需」の創出という本質を持つことである。また、「国や地方による民間委託」の手法では委託料目当てに、職業紹介事業が「第2の公共事業」と化す危険性さえある。

(1) 職業紹介事業の地方公共団体や民間事業への移行

@ 労働法制における規制緩和の一つの柱として、終身雇用を前提とした雇用慣行は敵視され、不安定雇用が増大し続けている。これにより、労働者の離転職は拡大せざるを得ず、求職者と不安定雇用の求人が増大している。他方、前記のとおり、職安の定員は減らされ続け民間事業者にとっては再就職支援という名の職業紹介事業が、新たなビジネスチャンスとなっている。

A さらに、有料職業紹介事業において求職者からの手数料徴収の禁止原則(ILO181号条約)を緩和し、年収要件を1200万円から700万円に引き下げるなど民間事業者参入の条件が整えられている。まさに有料職業紹介事業者の市場の拡大のための法「改正」と言える。

B そのような中で、ハローワークの業務の内、長期失業者就職支援については民間委託し、成果に応じて委託料を支払う方針が出され、すでに、5都道府県10地域で実施されている(1人10万円の委託料、就職させたら20万円、半年定着すればさらに30万円)。

C また、若年者対策(フリーター対策)として、経済産業省が主導して若年者向けの情報提供・コンサルティング・職業紹介などを一箇所で行うワンストップセンター(「ジョブカフェ」)を都道府県に設置させることになっているが、センターの業務は、民間に委託をすることになっている。

D 「市場化テスト」の実施  官が提供しているサービスと同種のサービスを提供する民間事業者と官との間で競争入札を実施して、価格と質の優れた方が落札するシステムが2005年度から試行されることになっており、公立学校、病院、ハローワークなどが入札対象に浮上している。

E 民間事業者にとっては、ビジネスとして成り立つ部分のみが事業の対象であり、高齢者、障害者などの就職困難者は、よほど高い委託費が支払われない限り、職業安定所が取り扱うことになる。そうなると、一般求職者を持たない職業安定所の求人が激減するのは必至であり、就職困難者の就職はより困難になるであろう。また、行政が行っている事業所指導(法の順守)はビジネスでは行えず、労働者の状態悪化が危惧される。

(2) 労災保険制度の民営化

損保業界が新たなビジネスチャンスとして労災保険を民間開放するよう強く求めている。業界が先例としているのが自賠責保険である。

労災保険の自賠責化はアメリカでは既に実施しているが、すでに破綻している州もあるという。全労働は、民間が担えば「労災隠し」が常態化する懸念や、現在の保険運営がいかに効率的であるかを訴えてきた。この主張は各方面からの支持を得、労災保険民営化は具体的には進んでいない。しかし、損保業界などが民間開放の要求を捨てたわけではなく、何とか具体的な施策化を阻止しているというのが現状である。

また労災民営化論者は、強制保険である労災保険制度の未加入事業所の存在や、滞納保険料の回収努力不足、業種別のリスクに応じた保険料率の設定などを現状の不備として繰り返し指摘し、それに応える検討が行われている。


3 非常勤問題

職安では正規職員と非常勤職員の数が拮抗している。兵庫県内の職安では750名:650名である。非常勤職員は1年間の期間を定めた「委嘱契約」を締結し、「相談員」と呼ばれている。日給は6500〜14500円/日で相談業務、一般事務など職員と同じ職務に従事している。社会保険には加入し有給休暇もあり実態は雇用関係にあるが交通費は支給されない。

定員削減の動きの中で、緊急雇用対策、新規施策を次々打ち出さないと非常勤職員さえ確保できない状況のもとで、非常勤職員の割合はますます大きくなる。組合は定員増を要求する一方で非常勤職員の組織化と労働条件の向上に取り組まざるを得ない。そこで、組合規約を改正し非常勤職員を組織化する方針を打ち出している。

このページのトップへ


実務研修会(2004.6.26)報告

弁護士 萩田  満


1 住友電工男女賃金差別訴訟(もと原告・西村かつみさん)

第1番目の講演は、03年に和解解決した住友電工男女賃金差別訴訟の当事者(原告)であった西村かつみさんのお話です。

解決したばかりのこの事件を演題に選んだのは、裁判外の運動を含め大きく発展して、和解では昇進という成果まであげたこと、労働組合でなかなか取り上げられない男女差別問題は今日重要になってきているという問題意識からです。

西村さんは、たいへんお話が上手で、なるほど、国連やILO等でも差別是正の運動を繰り広げることができるはずだと思わせるようなお方でした。

住友電工では、同じ一般職で採用されたにもかかわらず、男性は専門職に転換して管理職へ昇進、しかし、女性は一般職のままという男女差別実態がありました。西村さんたちは、こうした男女差別に疑問を持ち、また国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)まで出かけて反響の大きさに勇気づけられ、労働省の調停そして、裁判へと踏み切ったのでした。

会社が差別を認めなかっただけでなく、本来正義と平等のために活動すべき労働組合が「男女差別はない」等として資料提供など一切の協力を拒否していたこと、国も調停について不熱心だったこと、など一見すると周りは敵だらけのようにも思われるような状況です。しかも1審大阪地裁では敗訴でした。

運動を続けられてきた西村さんたちの驚嘆すべき点は、こうした逆境に立ち向かい、女性のネットワーク(ワーキング・ウイメンズ・ネットワークWWN)を立ち上げ、さらに視野を広くして国際機関に大きく訴えていくなど世論による支援を作り出していったことだと思います。

男女差別をはじめ、まだまだ職場における差別は根強いと思います。さらに、現在、成果主義という言葉が大はやりです。男女・年齢・組合活動の有無など誰からも明らかな理由による差別が、誰も客観的には吟味できない「成果」という衣によって実際の差別が覆い隠されていくおそれもあります。西村さんの住友電工でも成果主義が導入されたとのことでした。

こうした中で、私たちが教えられることは多いはずです。原告団・弁護団にとっては、労働裁判をいかに大きな運動に作り上げていくか様々な工夫が必要であることを実例でもって教えられました。組合の枠にとどまらず運動を飛躍させることは常に留意すべきことです。また、当初の請求になかった昇進という和解結果を勝ち取ったことも重要です。裁判所の中だけの発想にとらわれるのでなく、情勢を見通して最大限の要求を実現していくことが出来るのだと言うことを、今回の西村さんたちは実証したのです。

また、労働組合にとっては、単に住友電工の労組が反面教師となっているだけではなく、労働者には様々な要求が渦巻いていること、それを結集していくことによって組合活動が活性化するであろうこと、などを教えられたのではないかと思います。


2 雇用・賃金の市場化にどう立ち向かうか(神戸大学講師・岩佐卓也さん)

第2番目の講演は、現在進行中の雇用社会の変容について岩佐卓也講師からお話です。

まず、今進行している事態として、成果主義賃金、労働法制の規制緩和、非正規雇用の拡大、公共サービスの民営化が取り上げられました。成果主義賃金については、こうした賃金体系を受容する雰囲気が形成されつつあること、こうしたイデオロギーに毒される裁判官もいること(ハクスイテック事件)には留意しつつも、実態からスタートし、成果主義体型が適用される余地のある労働者は少ないにもかかわらずこうした制度導入が叫ばれるのは別の目的、すなわち人件費の抑制等が使用者のねらいとなっていることが解説されていきます。また、非正規雇用の拡大については、政府統計でも「都合の良い時間帯に働きたい」という意見が年々減っているにもかかわらず、労働者個人の就業ニーズに対応してパートやアルバイトを自ら選択している等と解釈する「労働経済白書」の欺瞞性など、何となく聞き流し納得してしまうような政府・財界のイデオロギーに対して、いったん立ち止まって自分の頭で考える必要があることを分からせてくれます。

こうして岩佐講師の解説は、なぜこうした「市場化」攻撃が叫ばれるのかの議論に移りました。岩佐講師のお話を聞いて印象に残ったのは、現在の賃金・雇用保障の体系は昔からあったものではなく戦後の労働運動が切り開いたものであること、その成果としての年功序列の雇用体系を押し戻していこうという動きであるというお話です。要するに、労働組合運動の成果を軽視するなというご指摘ですが、私が物心ついた頃には、労働運動ではすでにスト権ストが敗北し、政治的には社公合意が成立して民主的機運が退潮に向かう時期でした。組合運動の成果といわれても、理論的には納得しつつも、残念ながら感情的には納得できないところも残っています。

私の頭に入りやすかったのはもう少し別の視点です。1つは、正規社員とパート社員とを対立させて正規社員を攻撃する「労々対立」論を排し労働組合が正規社員中心ではなく、パート格差、男女格差の是正に本腰で取り組むべきことの重要性です。また、もう1つは、「市場化」理論が不公正是正の美名のもとに実際には、差別を見えなくするということでした。

その後質疑応答もありましたが、現在の雇用社会における漠たる不安をどうすべきかという確定的な結論がなかなか見いだせないという点が、多少心残りです。こうした議論はもっともっと民法協という場所を利用して深めていかなければならないのかと思います。

しかし、昨今の政治情勢は、雇用社会への攻撃だけでなく、全般的な恐ろしさがあります。こうした攻撃の背景にあるものをよく勉強しなければ闘う活力も養うことが出来ないのではないでしょうか。たとえば憲法9条についても、改憲してもっと現実的な規定にしなければ自衛隊はどんどん派兵されていってしまうのではないか、という議論も一部知識人の中にくすぶっています。

普段から継続反復して学習していかなければ、われわれ民法協会員であっても、政府・経済界が垂れ流すイデオロギーの中で溺れていってしまうのではないか、という気持を、岩佐講師のお話を伺いながら強く感じました。西村さんたちのように不公正を是正するための活動を旺盛に展開するためには、何よりもまず、実務研のような学習の場面が大切だと改めて痛感しました。

このページのトップへ


【2004年実務研修会・賃金制度アンケート集計】

※回答総組合数 25

うち、港湾関係3、タクシー2、運送2、機械類・機器等の製造・加工6、食品関係製造販売2、その他サービス2、公務外郭・関連3、地公3、国公2

2、ここ10年間での基本給の構成割合の変化の有無

@ある/6〜港湾関係2/3、タクシー1/2、運送0/2、機械類・機器等の製造・加工2/6、食品関係製造販売0/2、その他サービス0/2、公務外郭・関連1/3、地公0/3、国公0/2

Aない/19

4、人事考課について
(1) 有無

@ある/18〜港湾関係3/3、タクシー1/2、運送0/2、機械類・機器等の製造・加工6/6、食品関係製造販売2/2、その他サービス0/2、公務外郭・関連1/3、地公3/3、国公2/2

Aない/7

※以下は、ある場合

(2) 何に使われているか(複数可)

@給与等級の格付け/4

A職能等級の決定/7

B昇任(職務の決定)/10

C年俸/0

D賞与の支給額/8

E目標管理/4

F担務換え/1

G配置転換/2

Hその他/2 *昇給時のみ

(3) 考課項目の開示

@全部開示されている/5

A一部秘匿されている/5

B全部秘匿/6

(4) 考課者

@上位者2段階以上で考課/11

A上位者1段階のみで考課/1

B上位者1段階以上で考課/1

C不明/4

(5) 面接の有無

@考課機会1回につき2段階以上の面接あり/1

A1段階のみの面接/4

B全くない/12

(6) 意見表明等

@査定案を告知されて意見を言う機会があり、かつ結果に対する不服申立制度もある/2

A査定案を告知されて意見を言う機会はあるが、不服申立制度はない/2

B査定案に対して意見を言う機会はないが、結果に対する不服申立制度はある/1

C事前に意見を言う機会も事後的な不服申立制度もない/9

(7) 結果開示

@査定理由及び結果は文書で説明される/0

A査定結果は文書交付されるが、査定理由は口頭での説明/3

B査定結果も理由も、口頭での説明のみ/1

C査定結果は文書交付されるが、理由は求めても説明されない/1

D査定結果は口頭説明のみあり、理由の説明は一切ない/0

E査定結果も理由も一切不明/9

(8) 人事考課の全般的運用実情

@大変よい/0

Aどちらかと言えばよい/4

Bどちらかと言えば悪い/4

C大変悪い/7

D不明/1

(9) 問題点

@そもそも人事考課すべきでない/4

A組合差別など意図的に不公正な査定がなされている/4

B考課者の好き嫌いや気まぐれで不公正な査定がなされている/5

C考課基準があいまい/11

D考課手続が不明朗/4

E不服申立制度がない/5

Fその他/3

*B評価に集中化傾向が強い

*双方評価制でない

*公務にはそもそも能力の差をつけることが難しい、実績のあがらない部署での司法サービスの低下をまねいている

5、目標管理制度について
(1) 有無

@ある/6〜港湾関係0/3、タクシー0/2、運送0/2、機械類・機器等の製造・加工3/6、食品関係製造販売2/2、その他サービス0/2、公務外郭・関連1/3、地公0/3、国公0/2

Aない/18

*現在のところはないが教育評価制度が全国的に進められようとしており、今後兵庫でも進められる危険性が大である

※以下は、ある場合

(2) 何に使われているか(複数可)

@動機付けのみ/1

A給与等級の格付け/2

B職能等級の決定/3

C昇任(職務の決定)/2

D年俸/0

E賞与の支給額/3

F担務換え/0

G配置転換/1

Hその他/0

(3) 目標の設定

@上司からの押しつけ/1

 *職場や上司によってまちまち

A毎年決まり切った内容/2

B本人の言いなり/2

Cきっちりしている/1

Dその他/2

*初年度のため不明

*会社目標に沿った目標であれば自由度あり

(4) 業績評価における意見表明等

@評価案を告知されて意見を言う機会がありかつ評価結果に対する不服申立制度もある/0

A評価案を告知されて意見を言う機会はあるが、不服申立制度はない/3

B評価案に対して意見を言う機会はないが、評価結果に対する不服申立制度はある/0

C事前に意見を言う機会も事後的な不服申立制度もない/1

D特になし/1

(5) 業績評価結果等の開示

@評価理由及び結果は文書で説明される/1

A評価結果は文書交付されるが、評価理由は口頭での説明/3

B評価結果も理由も、口頭での説明のみ/0

C評価結果は文書交付されるが,理由は求めても説明されない/0

D評価結果は口頭説明のみあり,理由の説明は一切ない/0

E評価結果も理由も一切不明/1

(6) 目標管理制度の全般的運用実情

@大変よい/0

Aどちらかと言えばよい/1

Bどちらかと言えば悪い/2

C大変悪い/1

Dわからない/1

(7) 問題点

@そもそも目標管理という制度に無理がある・目標設定が合理的になされていない/4

A業績評価において組合差別など意図的に不公正な評価がなされている/0

B評価者の好き嫌いや気まぐれで不公正な評価がなされている/1

C評価基準があいまい/2

D評価手続が不明朗/1

E不服申立制度がない/1

Fその他/2

*わからない

*単年度目標であることが問題となる部署もある

6、現在の賃金制度に関して、当てはまると思うものに○をつけてください(複数可)。

@同業者の中では賃金水準が高い/10

A同業者の中でも賃金水準が低い/11

B今の社会全般や若年労働者層の意識などからするとある程度の成果主義賃金はやむを得ない/3

C人によって能力や職務内容に違いがあるから単純な年功序列賃金はかえって不公平/4

D昔ながらの年功序列賃金制度こそが労働者にとって最も合理的/5

E事務系や保守管理など成果主義になじまない職務にも成果主義賃金を導入して過度の合理化や締め付けに利用している/7

F人事考課や目標管理が差別的な労務管理の手段になっている/3

G人事考課や目標管理などにより賃金制度が個別化されて組合への団結が弱まった/2

H人事考課や目標管理などは制度としては肯定できるがその運用がオープンでなく組合員に不満が多い/3

I男女差別賃金やパートと正社員の賃金格差など賃金面での差別扱いがなお残っている/3

Jパートと正社員など採用形態の違いによる賃金格差はあるが男女の均等待遇は果たされている/8

K組合は賃上げだけでなく人事考課や目標管理が適正に運用されるようチェック機能を果たしてきた/8

L賃金制度の個別化やベア無し春闘の定着により賃金において組合の果たす役割はほとんどなくなった/1

M組合として一律の賃上げ闘争は難しくなったが人事考課等の適正運用やパートなどの均等待遇実現を中心課題として取り組んでいきたい/7

Nその他/8

*高齢者と若年者との賃金格差が大きい

*生コンの安売り企業の反乱が労働者の雇用・賃金までも危機をおよぼしている。生コン業界の業界対策が急務の課題になっている

*同業者の中では賃金労働条件は最高です

*個人の能力向上分を前提とした職能資格制度であるが、年功的な運用となっている

*業程により2極分化し業界自体が先細り、作る製品が変わってきている

*同業者の数は全国でも多くないが、賃金は恵まれているほう。しかし業務には通訳・翻訳が含まれており、そちらのプロと比較すると格段に安い。従って高賃金が安いという業界全体の問題がある

*現在は合理化でこのようになっているが、基本的には年功序列型が望ましい。業務内容からそのようにいえる

*派遣社員の増加

このページのトップへ