第5回世界閉鎖性海域環境保全会議


EMECS2001(第5回世界閉鎖性海域環境保全会議)参加報告

 昨年11月19日〜22日、神戸・淡路にて開催されたエメックス会議。事務局から9名と会員8名が参加しました。20日には,EMECSで初めてのNGOフォーラムがあり、瀬戸環連事務局長(EMECS2001 運営委員)の小沢秀造弁護士が、円卓会議のラポターとして出席し、活動報告もしました。又、2日間行われたポスターセッションでは滝野・五島 両事務局次長がそれぞれポスター発表(英文)しました。最終日の全体総括会議では「神戸・淡路宣言(案)」が提案され、満場一致で採択されました。
(財)国際エメックスセンターの菊井順一事務局長様からのメッセージをいただきました。 "EMECS2001 では大変お世話になりました。大きな成果を得て終了したことに、皆様のおかげと感謝しております。今後これをどう発展させていくかが課題と思っています。皆様のご健勝をお祈りします"



○●○●○ EMECS2001へ参加して○●○●○

瀬戸環連事務局 加藤久仁美
 今回の会場はいささか交通の不便なところと思っていた矢先に私事が重なり、2日目(神戸ポートピアホテル)のポスターセッション一巡と、4日目(淡路夢舞台)の瀬戸内セッション・総括会議のみで終わった。一瞬圧倒されそうな会場の雰囲気に、行政のパワーを感じながら展示ポスターを見て廻ったが、外国の参加者の利便は理解できるが、国内NGO・一般参加者向けにコピーでもよい自国語の説明書の配慮が望まれた。
 「21世紀瀬戸内海の再生に向けて」は多面的な報告の中で特にダムの底部に堆積した酸素不足の水をそのままに放水することで川や海の生態系が変貌をきたしている報告は、幅広いネットワークの必要と、大会宣言にうたわれた『協働』の言葉の重みを、又、今後の環境保全に向けて一石を投じた滝野さんの論文"瀬戸内海を世界遺産へ"は、今後のNGO発展的運動の展開のなかで開かれるのではないか。その為にも、時期会場にはさらに多くのNGOの参加を期待したい。未来に繋ぐために!



○●○ポスターセッションでの印象〜再度訴える!ジェンダーの視点を生かせ!!○●○

瀬戸環連事務局 後藤安子
 研究報告の大会においては、発表者が多すぎる場合ポスターセッションが行われるようになっている。エメックスにおいても、さまざまな研究がポスターセッションにおいて紹介されていたが、一番印象に残ったのは、スリランカの女性による、環境保全に対する地元女性の取り組みに関するものであった。世界の国々において、女性が日常生活では密接にかかわっているにもかかわらず、その政策やプランにおいては地元の女性の意見が反映されない場合が多い。ジェンダーの視点が反映されることが不可欠である。
 スリランカの女性の今後の取り組みに対して大いなる声援を送りたい。研究発表のための調査研究ではなく、本当に地域の環境保全や住民の生活を支える研究に連帯して応援していきたい。



EMECS2001 ポスターセッション原稿

EMECS2001(世界閉鎖性海域環境保全会議) ポスター発表用資料
発表テーマ1:4−6 環境教育と沿岸域の環境情報
タイトル  :この目で見た瀬戸内沿岸の環境調査結果と再生への提言
団体名   :瀬戸内の環境を守る連絡会
発表者名  :五島康治
共著者名  :小沢秀造、小山英二、後藤安子、玉田真知子、北風美奈子

発表趣旨
瀬戸内の環境を守る連絡会(略称:瀬戸環連)は,1996年から1998年の3年に渡り、地球環境事業団の助成金を得て瀬戸内沿岸の海浜調査を行い、その結果を報告書として発刊した。これは瀬戸環連に加盟する団体や個人、及び一般市民の方達が瀬戸内沿岸全域の3780Kmを実際に歩いて見て海岸線の自然状況や透明度、水温、海浜生物、住民の意識調査など実態結果を地図に表記し報告書としてまとめ、併せて瀬戸内海の利用のあり方や再生に向けての提言を行ったものである。
 日本のNGOにおける大規模な閉鎖性海域の調査・分析・提言は画期的なものであり、貴重な資料なので、今回その成果をポスターセッションに展示・発表するものである。

調査概要
 期間  :1996年7月〜1998年6月
参加数 :瀬戸内調査団(約30団体+約300個人)
調査項目:海岸線の状況、透明度、水温、海浜生物、住民の意識
調査範囲:島嶼部を除く瀬戸内沿岸全域(但し淡路島と小豆島は調査対象に含む)

調査結果
海岸線の区別大阪湾区域兵庫及び中国区域四国及び九州区域合計
自然海岸30Km(6.6%)376Km(21.4%)388Km(24.6%)794Km(21.0%)
準自然海岸33Km(7.3%)150Km(8.6%)222Km(14.1%)405Km(11.0%)
コンクリート海岸179Km(39.6%)848Km(48.3%)678Km(43.0%)1705Km(45.0%)
立入り不能海岸210Km(46.5%)380Km(21.7%)289Km(18.3%)879Km(23.0%)
合計452Km(100%)1754Km(100%)1577Km(100%)3783Km(100%)

住民の意識調査

1、瀬戸内海とのつながりは何によって感じますか?

魚釣り
22%
散歩
15%
海水浴
23%
ヨット・サーフィン
7%
潮干狩
8%

漁業
9%

祭り
4%
何も感じない
4%
その他
8%


2,将来の瀬戸内沿岸の利用について
賛成あまり同意できない反対


6% 18.6% 75.8%
(1)埋立て企業用地として開発する


13% 24.8% 62.8%
(2)埋立て公共用地として開発する


37.2% 27% 35.8%
(3)人工的に砂浜をつくり住民に開放する


85.4% 10.6% 4%
(4)自然に近い海岸の環境を回復させるべきである



瀬戸内海を住民共有の財産にするためのアクションプラン

1,人と自然の共生に根ざした瀬戸内再生のためのマスタープラン作り
  "永続可能な瀬戸内海"の理念を確立し、長期的視野にたったコースタル・プランニングを提示する。
2、環境基本法に立脚した「瀬戸内法」の抜本的改正
  暮らし・環境・文化・安全を破壊又は侵すような埋立は禁止することを明示し、違反したものには法的罰則を課すような制度に「瀬戸内法」の抜本的改正を図る。
3、ミテイゲーションの制度化
  農漁業の流通などのための真にやむを得ない埋立てを行う場合は、充分な環境アセスメントはもちろんのこと、それによって失われる自然と同価値以上の自然を回復させることを法的に義務付ける。
4、オープンスペースの確保とパブリック・アクセスの保証
  現在の埋立遊休地は,国または地方自治体が妥当な価格で買い上げ、水辺とのふれあい,自然空間を大切にしたエコロジーパーク(海水の浄化機能を有した渚公園など)とする。また立入禁止となっている企業・工場・公共用地の占有岸壁に遊歩道などを作り,住民が散策や釣りなど,海辺に自由に立入れることを保証する制度を設ける。
5、漁業の振興・海水浴場の整備・手頃な釣り場やマリンスポーツ設備の増設
  藻場の新設や気軽に楽しめる瀬戸内活用プランを、専門家の意見を取り入れて策定・実現する。

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発表テーマ2:瀬戸内海の全海域と沿岸景勝地を対象として
       世界自然遺産の登録を        発表者名  :滝野秀男
所 属   :瀬戸内の環境を守る連絡会 事務局次長

1.瀬戸内海の沿岸海域と沿岸陸域に係る世界遺産登録対象区分案
(1)瀬戸内海の沿岸海域
 ●革心区域(コア・ゾーン)「瀬戸内海」の海域に関する国立及び国定公園の全海域とする。
 ●緩衝区域(バッファ・ゾーン)「瀬戸内海」の海域について上記の核心区域を除く、同全海域とする。
(2)瀬戸内海の沿岸景勝地(陸域)
 a.「瀬戸内海」の集水域内にあり、同沿岸より20km以内にある景勝地を対象とした地域とする。
 b.上記の景勝地は「瀬戸内海」の海域に関する国立・国定公園と自然海浜保全地区及び鳥獣保護区を含め、その周辺地を含むものとする。
 c.上記の景勝地等については関係の府県知事が必要により関係の自治体の同意を得て定めた地域であり、かつ核心区域と緩衝区域に区分した地域である。

2.もっと多くの世界自然遺産登録を
 四方を海に囲まれて美しい山や谷が多い日本の自然や、豊かな水や木に恵まれた日本の文化を世界遺産に登録しようとする気運は早くから強く支持されてきた。しかし、日本の世界遺産条約加盟は20年遅れの1992年であった。加盟後の経過をみても、文化遺産の登録に偏重してきたことは否めない。今も自然遺産は樹齢7200年の縄文杉を含む「屋久島」と世界的規模のブナ林である「白神山地」のみである。
 雄大な多島海景観のなかに生生とした人間生活の営みが入り組んでいる瀬戸内海はまず世界自然遺産に登録されるべきであるが、まだその検討もなされていない。わが国の瀬戸内海環境保全特別措置法をみても「世界において比類のない美しさを誇る景勝地として」「その恵沢を国民がひとしく享受し後代の国民に継承すべきである」(同法第3条)としているが、産業開発に優先して環境保全を徹底させるなど全人類共有の資産として、これをあらゆる被害から保護することまでは定めていない。
 現状の瀬戸内海沿岸域では産業開発のための埋立等も近年急ピッチで進められ、その自然海岸線37%を残すのみである。(わが国全延長のそれは55.2%)。瀬戸内海の自然は危機的な状況にあるが今からでも遅くはない。瀬戸内海とその沿岸景勝地域を自然遺産に登録することは、世界遺産条約に加盟したわが国の条約上の義務である。

神戸の六甲山は昔ハゲ山だった
神戸港から見た昔の六甲山は禿げ山であった。前世紀の当初から頂上部の1000ヘクタールに積極的な植林が行われた。その結果、神戸港は背山の緑ゆたかで美しく、水のおいしい港として世界的にもよく知られるようになった。1956年には神戸の背後にある六甲山の6600ヘクタールが瀬戸内海国立公園の一部に指定され現在に至っている。淡路島に向かいあう金剛生駒紀泉国定公園の豊かな山並みの緑も生き生きとして、深い傷を背負った大阪湾の海を穏やかに癒し続けている。関西国際空港用地の土取り場跡地の植林等による環境復元事業も少なからず進展してきた。しかし大阪湾を含む瀬戸内海の景観・環境修復・復元について急がないと時間的余裕がない。大阪湾や広島湾もまだ生きている。これら湾内の埋立を凍結することは特に急務である。
 自然遺産の登録については、こうした環境回復事業を積みあげた実績を考慮し、大規模な埋立の後の状況をみた上で判断すべきだとする有力な意見がある。

世界遺産条約の本旨徹底を
 世界遺産の登録は自国の国益を至上のものとせず、同条約の本旨を基準として判断すべきである。産業開発をすべてに優先させてきた在来の手法からの転換が緊要である。瀬戸内海の沿岸域は文化財の宝庫であって、各所に文化庁所管の史跡名勝天然記念物がみられる。本来自然遺産と文化遺産は深い相互依存の関係にある。歴史的にもこのことは検証されているが、同沿岸域では学際的で慎重な検討が引き続き求められている。行政不信を解消して関係住民の合意と理解を得ることは特に重要である。住民との対話と討論には拙速を避けて、前向きの意見を引き出す為に相当の年月をかける必要がある。
 世界遺産は全人類共有の至宝であって世界平和の象徴である。瀬戸内海とその沿岸景勝地の自然遺産登録については世界平和と、地球環境保全の為にもその実をあげ、世界の人々の期待に応えたい。



2001年11月21日NGOフォーラムにて採択されたNGO提言

EMECS2001 NGO提言

 NGOフォーラムは、EMECSにとって第5回にして初めての試みであった。この実現に向けたEMECS関係者のご努力に敬意を表するとともに、各地のNGOがEMECSに参加し,NGO活動の意義と成果を訴え続けてきたことの成果であることを喜び合いたい。近年、環境政策とその実行におけるNGOの役割は飛躍的に大きなものとなっている。また、政策や技術などの分野における進歩もめざましいものがあるように見える。しかし、世界各地の閉鎖性海域の環境保全をめぐる実態はいぜん深刻な状態が続いている。
 NGOフォーラムでは、各国・地域からの参加者により以下のようなことを確認した。
 開催地・日本においては、生態系の保全上重要な干潟浅海の破壊行為が間断なく続いており、唯一環境保全法をもつ瀬戸内海においてさえ埋立て禁止条例が骨抜きにされていること。同様に、アジア各国においても環境破壊が進みつつあること。そのような中で、アジア各地のNGOは力強く対案を提示し、その行動力が環境保全の推進力となり、政策への影響力を拡大しつつあること。しかし、一度破壊された海域の再生はきわめて困難が伴い、未然防止の観点からNGOの積極的関与が図られる必要があること。多国籍企業の開発圧力は、途上国における閉鎖性海域の保全にとって重大な脅威であり、沿岸住民にも環境負荷の高いライフスタイルを押し付け、環境保全の行動に困難を与えていること。これまでの公害・環境破壊の苦い教訓が、日本をはじめアジア地域において十分に生かされていないこと、などである。そして、NGOが担う公益的な独自の役割として、閉鎖性水域を共有する地域社会や関係機関などの連帯・利害関係を促す機能を担うことが重要であり、その機能を発揮する上でも、閉鎖性水域の環境保全に係る政策決定や意志形成にNGOの参画を進める制度改革が必要であることが指摘された。また、神戸で開催された第1回EMECS会議は湾岸戦争のさなかであったが、今回も閉鎖性海域の沿岸地域を舞台にしたテロや戦争が繰り広げられている中で開催され、生命を守る立場から環境保全の活動に従事する者としての痛みと怒りが共有された。このような討議を踏まえて,NGOフォーラムとして、以下のことを提言する。 EMECSにおいては、閉鎖性海域の環境保全・再生にNGOの積極的な関与が欠かせないこと、また、今回のNGOフォーラムの取り組みを次回に継続し、発展させ、より対等な構成員としてNGOの参加を進めることを宣言文に明記すること。

私たち参加者もEMECS活動のNGO分野に広げる活動に努力する所存である。 (財)国際エメックスセンターは、閉鎖性海域において環境保全活動を進めている広範な住民団体、市民団体・NGOの国内外での交流を推進する機能を持つことを意志決定し、行政・企業・研究者らとの連帯をつなげる役割を担うこと。その実行プログラムをNGOとともに検討し、そのための予算とスタッフを恒常的に確保すること。
 そして、参加者の皆さんによびかけます。テロや戦争が地球上から根絶されるように、環境保全を願う地球市民として力を尽くしましょう。
以上
2001年11月21日 EMECS 2001・NGOフォーラム参加者一同



瀬戸内海セッション

(瀬戸環連幹事 小山英二)
 第5回EMECS瀬戸内セッションが、会議最終日に淡路島夢舞台・国際会議場で開催され、内外のNGOメンバーが参加して、『21世紀の新たな瀬戸内海の環境保全・修復・想像』をテーマに、瀬戸内海の環境保全に関係している行政官・科学者・環境NGO・漁業者等のパネリストが、瀬戸内海環境保全協会 櫻井さんのコーディネートのもとに活発な討論を行いました。最初に各パネリストが、それぞれ三つのキーワードをベースにした報告を行い、討論を行った後、フロアーから50件を超える意見や質問が出され、それに沿った討論が展開されました。まとめをラポター九州大学の柳さんが行って終了しました。

◆瀬戸内セッション  パネリストのキーワード一覧
1.埋立て2.廃棄物3.海砂利採取(環瀬戸内海会議)
1.下水道2.流域別下水道整備総合計画3.高度処理(国土交通省)
1.漁業生産2.ガヴァナンス3.瀬戸内海環境保全知事・市長会議(瀬戸内海研究会議)
1.現状認識2.教育3.調和(山口県漁協連合会)
1.心がけプラス仕掛け 2.波状的・協働的運動 3.学校融合の環境学習(広島県環境保険協会)
1.連邦クリーンウォーター法(GWA) 2.数値目標(汚染物質最大負荷日量)3.メリーランド州政府(メリーランド州環境省長官)
1.瀬戸内海環境保全特別措置法 2.基本計画の改訂3.失われた良好な環境の回復(環境省・閉鎖性海域対策室長)
1.高度利用2.文化と景観3.瀬戸内海の価値(国際日本文化センター)
1.関係者の全員参加2.公平な役割分担とコンセンサス3.持続可能な経済発展との調和(関西電力株式会社)
1.生物生息環境2.親水空間3.地域環境(国土交通省)



連絡先:瀬戸環連事務所
673-0886 兵庫県明石市東仲ノ町3−15
TEL&FAX (078)911-7397