鞆の浦訪問記
鞆の浦の風景写真
写真提供:鈴木辰夫氏(鞆の自然と環境を守る会)
石畳
友光軒
'01.3/24 鞆の浦海の子 松居秀子さん
焚場付近
大きな常夜燈の前にて 小沢秀造事務局長
鞆の自然と環境を守る会 代表 鈴木辰夫氏と五島康治事務局次長
看板
海・港・街があり、そして鞆を愛する人がいた
瀬戸環連事務局次長 五島康治
春の陽気に誘われ3/24,25の2日間、広島県福山市鞆港の埋立て架橋を巡って揺れ続けている現地に、小沢事務局長と行ってきた。
バス停から防潮堤に沿って歩いていくと港特有の磯の香りが鼻をつき、5分程でそう大きくない楕円形をした鞆港が見え始めた。路地裏に入るとそこはもう歴史が凝縮された街並み。重厚な門構えの民家や商店が続き、小道には古い石畳が残っている。
大正ロマンの雰囲気が漂う喫茶店「友光軒」で女主人の松居さんにお会いし、くつろいでいたら突然の激しい揺れに驚く。広島県を中心としたM6の芸予地震に遭遇したのだ。
しばらくして「鞆の浦の自然と環境を守る会」代表の鈴木さんが来られ、「鞆の浦港架橋埋立て問題」について話を聞いた。詳細は別稿によるが、埋立て架橋問題とは、港の西側2.0ヘクタールを埋立て、対岸から橋を架けて道路を通す計画のことである。圧倒的に推進派が多い中、お母さん達や若い人たちのパワーの母体である「鞆の浦海の子」の署名活動などでの頑張り、「重要伝統的建造物群保存運動」を核として行政や推進派をも巻きこんだ多面的な戦略、著名な学者や文化人の賛同を得ての「世界遺産登録」を視野に入れた幅広い運動を展開しており、マスコミも好意的に扱ってくれている事もあって、「鞆の浦の港と街並み保存運動」は徐々に広がりを見せているとのこと。
紹介していただいた活魚料理店「千とせ」にて、鯛めしの懐石料理を堪能した後、松居さん宅で地酒を酌み交わしながらご夫婦と懇談した。奥さんは大学が関西だった関係で神戸の灘におられたそうで、アメリカに留学後結婚されたとの事。感性豊かで若々しく、ゆったりとした人間性はとても魅力的である。ご主人もなかなかハンサムな方で、自分で見て調べて研究された「瀬戸内の要衝・・鞆の歴史的港湾遺産を保存活用した街造りに関する研究―江戸期石工の高度な築港技術の解明と地域遺産としての啓発活動―」という報告書は専門家顔負けの力作だ。
その夜は松居さんの別宅に泊めていただいた。
2日目はあいにくの小雨だったが予定通り、港やお寺や街並みを散策し、歴史民族資料館などを見学した。驚いたことにこの狭い街に何とお寺が19もあるという。特に海に面した高台にある福禅寺対潮楼からは、いくつもの島が織り成す瀬戸内の風景が絵画を見ているようで、又、山の中腹にある医王からは寺鞆の浦の全景が楽しめる。
街を歩くと江戸時代初期から製造されている「保命酒」の店が数多くある。養命酒は14種類の薬草だが、「保命酒」は16種類で胃腸にもいいという事だったのでつい買ってしまったのだ。
昼の港は静かで満潮の海水も意外ときれいだった。午前中港を迂回して対岸まで歩いたがせいぜい15分程度。いかに道路が狭くて車が通るのに不便だといっても、たかが15分短縮するために、貴重な港の自然と風景を壊してまで橋を架ける必要があるのだろうか?常夜燈の向こうに見える港の景色を台無しにしてはいけない。失うのは容易いが復元は難しいのだ。大型観光バスで観光客が一時的にどっと押しかけるやりかたではなく、歩いたり自転車などでじっくりと散策する観光がこの街には似合う。サステイーナブル・デベロップメント(永続可能な発展)に根ざした港と街作りのマスタープランが重要であろう。
昼過ぎ再び「友光軒」へお邪魔し松居さんに、この鞆の浦で今夏に行われる予定の学生調査隊と合同で、瀬戸環連と一緒に自然環境のシンポをやりましょうという事をお願いして鞆の浦を後にした。
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